埋もれている傑作映画5本

「さあ、今日は、またちょっと本の話題を離れて、映画の話だよ!」
「あのさあ…また?いいの?ここ、本のブログでしょ?」
「いいの!映画だって、見始めたが最後、徹夜してでも見たい映画だってあるでしょ?それに、映画に関する本も世の中にあふれてるんだし。本が原作になってる映画なんて数知れないし。このブログを見てくれてる数少ない読者のひとたちも、きっと映画にも興味はあると思ってるの」
「まあ、それはどうだか、わかんないけどね…」
「せっかくだから、今日も、また、あまり世には知られてない作品で、あたしがこれまで見てきて、なんでこれが評価されないのかわからない、と思った、埋もれた傑作映画を紹介するよ!題して、『もういちど観たい、隠れた傑作映画ベスト5』!」

1・「ビデオゲームを探せ」

幼稚園児だったころかな…お父さんが借りて来たビデオを見て、衝撃を受けたのよね。せがんで、何度も見せてもらってたなあ。ある少年が、ギャング組織の秘密を収めたビデオゲームをふとしたことから手に入れ、その組織から命を狙われる、しかし、大人はだれも信用してくれない、少年は自分ひとりでその組織に立ち向かわざるを得ない…。
少年の味方になってくれるのは、彼が心の中で作り上げている、イマジナリー・フレンドならぬ、イマジナリー・ヒーローであるたくましい一人の軍人だけっだった…。素晴らしいのは、決してこの軍人が実体化して戦うみたいな、スピルバーグのファンタジーものによくあるような、安易なストーリにはならないことよね。イマジナリー・ヒーローは、最後まで、少年の心の中にのみあり続けるだけでありながら、最後には、彼を助けて、炎の中へ去っていくの。
大感動ものだったんだけど、いま調べてみると、映画自体、日本未公開で、ビデオが出たっきり、DVD化もされていないのよね…。当時ビデオは高くてとても買えたもんじゃなかったし、いまじゃ、手に入れてもデッキがないから、再生できないしで、うろ覚えのまま書くしかないんだけど、あたしの幼児体験として、かなり強い痕跡を残して行った作品なのね。忘れられてる傑作としては、代表的なものじゃないのかな、と思ってる。まあ、思い出補正もあるかもしれないけどね…。

2・「NAGISA」

日本映画。いつだったかBSでやってて、忘れがたい印象を残した作品。ある港町での、一人の少女を中心にしたひと夏の出来事を描く、といった感じの抒情もの。港町のゴミゴミした商店街の、迷路のような一角などが、信じられないような流麗なテクニックで描写されていくの。
少女は、ずっと、行方不明になった猫を探している。それを基調低音として、都会からやってきた男の子とのあわい交流などが描かれる。寺の住職として、柄本明が出ていたかな。まあ唯一の瑕疵としては、少年がおぼれ死んでしまうみたいな、みえみえの感動場面をいれたりしてた点かな。結局、猫は見つからず、街は暗がりの中に少女と共に存在し続ける…という感じだったかな。雰囲気としては、大林宜彦の「さびしんぼう」に似てた感じだった。監督は小沼勝といって、エロ映画を主に撮ってきた人らしいね。見たことはないけど。これのDVD、再販されてなくて、いま手に入れようとすると、とんでもない高値になってしまうのよね。

3・「クレージーだよ 奇想天外」

クレージーキャッツものの後期の一作で、珍しく谷敬主演。植木等は助演ね。全体にファンタジックな仕上がりでストーリーもきっちりしてて、笑わせて泣かせてくれて、もしかしたら、クレージー映画のなかでも一番すっきりまとまってるんじゃないかと思う。谷敬の宇宙人が、ドジでかわいくて切なくていとおしくなるのよね。若き藤田まことの、好演もいい。いかにも駆け出しの漫才師って感じ。歌謡ショーの場面では、とてつもなく若い内田裕也も見られるしね。ストーリーはほとんど忘れちゃったけど、別れの場面なんか切なくて、大感動した記憶があるな。監督は坪島孝。そつなく職人仕事をなしとげる、といった感じを受けたな。ただ、同じ監督の「クレージーの怪盗ジバコ」は、つまらなかった。


4・「多羅尾伴内」

白黒のころのやつじゃなくって、小林旭が主演したカラーのリメイクのほうね。テレビで見たんだけど、衝撃的だったなあ。監督は、「トラック野郎」の鈴木則文。ある連続殺人の背景には、過去の殺人事件が要因となっており、その被害者の復讐によるものだった。女性歌手が、舞台の上で、鎖に締め付けられ、宙づりにされ、ついには、上半身だけ切断されて舞台に落下するシーン、すごかったなあ。小林旭は、もう、ノリノリで、非現実的な超人探偵を演じるし、おいおい、と思いながらも、このノリは、小林旭以外には誰も出せないような、スターのオーラに満ち溢れていたね。ヒーローものにあえて酔う、うっとりとする、という快感を感じさせてくれたね。鈴木則文の職人仕事が見事。

5・「ガンモール」

マフィアのボスを、ただ独りの力で、だまくらかし、きりきり舞いさせる情婦・ソフィア・ローレンの話。脚本がおそろしく良く出来ていて、彼女の、つなわたりのような危うさの中での、立ち回り方、騙し方のテクニックが絶品。全体を覆う狂騒的なテンポもすばらしい。大爆笑とサスペンスの素晴らしい融合。なんでこれがアマゾンプライムに入ってないのか、理解に苦しむわー。

「興味を持った人は、ネットで調べるか、もしDVDかTVで見られる機会があったりしたら、ぜひ見てみてね!それじゃ、またね!」

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