「俗物図鑑」(筒井康隆)

「また今年も、ジョニー赤とジョニー黒ですか。もっと何か、変ったお歳暮にしたらどうでしょう」営業庶務の平松礼子が首をかしげてそういった。(略)
営業第二課長の雷門亨介は、目を細めて礼子の顔を眺めた。(美人だし、頭もいい(略)それなのにどうして婚期を逸したのかな(略))
「(略)変ったお歳暮というのは、キミが想像している以上にむずかしいんだ。(略)」
亨介と礼子は第二応接室で二人きりだった。(略)(これはいかん)(略)(あのスカートは彼女の足の長さのため今も尚まくれつつある。いちばん悪いことには、おれが欲情してきた)
「社内ではぼくのことを営業課長とは呼ばない。接待課長と呼んでいる」
「だけどそれは悪口じゃないわ。接待役のむずかしさぐらい、皆、知ってるわよ」
(知るもんか)亨介は思った。(ただ酒を飲めていい身分だぐらいに思ってるんだ)
(略)「そういう課長って、とてもすてき」礼子は熱っぽく亨介を眺めた。
(略)「可愛い子だ」(略)ふたりは唇を重ねあわせた。
(略)ちょうどその頃、風巻機工の社長風巻扇太郎は、(略)社長室に戻った。
(略)盗聴は、風巻扇太郎のひそかな楽しみだった。彼は社内のあちこちに盗聴用マイクを仕掛け、(略)いろんな会話を社長室で盗聴していたのである。
(略)彼はツマミを応接室に設置してあるマイクの波長にあわせた。
(略)「わたし、課長が好きよ」
(略)やがてそのささやきの中に、甘ったるい吐息と切なげな息づかいが混じり始めた。
風巻社長は顔色を変えて立ち上がった。
平松礼子は、風巻扇太郎の情婦だったのである。

「今日は筒井康隆の『俗物図鑑』を紹介するよ!」
「あー知ってる。『時をかける少女』の人だよね!」
「そう、なんでだか若いころに書いた、そのジュブナイル作品が一番有名になってしまってるけど…」
「アニメ映画で見たもん。時間を延々とタイムリープするやつだよね」
「そうだね。細田守監督のあの映画は良く出来てたよね。TVで見たけど、筒井康隆自身も、気に入ってたみたいね。でも原作そのものは、今の目からすると、ホントに当時の子供向けというか、お子様向けで、内容的にも大したことないんだけどね。」
「そう?」
「うん、これと最近の難しい文学的実験作品だけで、筒井康隆を知ったつもりになってほしくはないかな、って思ってるよ。何と言ったって、昔は、大ストーリーテラーの王道をいく、娯楽作家だったんだから」
「ふーん」
「とくに1960年代から70年代前半の作品群は、もう、今の目から見ても無茶苦茶な、日本のいわゆる小説的情緒とかをとことん逸脱した、狂気じみた傑作を次々と発表していったんだよ」
「狂気?」
「そう、『東海道戦争』から始まって、『48億の妄想』、『ベトナム観光公社』『アフリカの爆弾』『ホンキイ・トンク』『心狸学・社怪学』『日本列島七曲り』などの時代ね。もう、常識とか非常識とかを超えて、やりたい放題のムッチャクチャなギャグ作品を連発していったんだよ。それらは、今読むと、当時ほどの衝撃度はないにしても、十分楽しめるし、日本という湿った風土の中から生まれたとは思えないほどの、ストーリーの冴え、スラップスティックの鮮やかさ、もう、読者に笑いを提供する以外のことは全て瑣末事みたいな作劇法は、当時も今も、誰も真似できていないくらいの衝撃度を持っているよね」
「そうなの?」
「うん。直木賞の候補に何度もなりながら、『小説の品位から外れている』という訳の分からない理由で、ことごとく落とされているのも、さもありなんという感じだね。逆に、こんなのが直木賞とったら、作品の品格じたいが疑われる、そんな、賞なんて小さい枠では捕えきれない爆発力と狂騒性があったね」
「ふーん」
「とにかく、ギャグにつぐギャグ、読者に対するサービス精神以外は、そんなもん知ったこっちゃない、みたいな、小説の品位とか人間性とかをとことん無視した、大狂躁作品を次々と生み出していたわけよ。あたしが最初に読んだのは、小学生の時の『48億の妄想』なんだけど、これがもう、そのプロローグからして、狂いまくっていてね…」
「うん」
「本当は『48億の妄想』も、トピックとして取り上げたかったんだけど、それじゃ、このブログが筒井康隆作品だらけになっちゃうから、これだけいっとくね。とにかく、あのプロローグの狂いっぷり、衝撃度は半端じゃない!気になった人は、電子書籍で出てるから、読んでみて!とね」
「ふーん」
「で、70年代後半から、筒井作品は、だんだんにその露悪的な作風から離れて、オーソドックスなウェルメイドともいうべき作品群へ移行していくんだけど、そちらはそちらで本当に面白いんだけど、わたしとしては、初期の頭のネジがぶっ飛んだような奇天烈な作品のほうが好きなわけね。で、この作風の流れの総決算が、今日紹介する『俗物図鑑』なわけ」
「へえ。冒頭に引用した部分からすると、なんか、昔のコメディ劇みたいな感じだけど」
「そう、そこも筒井作品の特色だよね。筒井康隆自身、昔は演劇青年だったし、舞台にも出ているの。そしてその作品はしばしば劇の一幕ものみたいな、人が舞台の袖から現れて騒動をおこしては消え、また別の人物が幕間から登場し…みたいな、きちんとした舞台劇を見ているような構造になっていることが多いのね。それも、読者にとっては、わかりやすく、娯楽ものの王道を歩ませた要因になってるんじゃないかな」
「そうなんだ」
「冒頭の部分は、こう続くのよね。数日後喫茶店で…」

「どうしてわたしだけクビになって、課長はクビにならないの」(略)「不公平だわ」
「まったく申しわけない」礼子が本気で彼に怒っているのではないことは知っていたが、亨介はとりあえず頭を下げて見せた。
(略)(この娘が、(略)結婚してくれなければ訴えると叫んで泣く最近の馬鹿娘のようでなくて助かった)
(略)「実は課長にお願いがあるの。聞いてくださるかしら」
(略)「わたしの兄貴が、(略)ハウ・ツーもの専門の出版社をやってるの。(略)一冊本を書いてみようと思っているのよ」
(略)「君がいったい、どんなハウ・ツーものを書くっていうの」
「ほら、あれよ」(略)「お歳暮、お中元、つまり御贈答品をいかに選ぶかって本よ。(略)手伝ってもらいたいの(略)」
(略)「手伝おう」(略)(この娘に会える機会がふえるものな)
(略)「不思議なのは、あの時どうして社長が(略)入ってきたかということだ」(略)「あの時社長は、不義者見つけたと叫んだが、何が不義なんだろうな」(略)
「さあ」礼子はもじもじした。

「ホントに、劇みたいね」
「そう、舞台劇にしたら、さぞ映えるだろうね。そして、いよいよ礼子のアパートへ入った亨介は、原稿を読んで、」

「面白い」(略)「おそらく売れるだろうね」
「あっ。うれしい」誉め続ける亨介に、礼子がむしゃぶりついてきた。(略)
(あっ。しまったしまった。昨夜は会社の宿直室で寝たのだ。パンツをもう三日替えていない。靴下だって蒸れている。おまけにおれには腋臭もあるのだ)
(略)「ねえ」(略)「ここにはちゃんとベッドがあるのよ」
「う、うん。しかし」(略)(いかん。パンツが汚ない。足が蒸れている。腋臭だ)
礼子はしっかりと、亨介の頭部をかかえこんで叫んだ。「わたし、課長が好きなの。(略)仕事熱心で、頭がよくて、男らしいところが好きなの。靴下が臭くったって、気にすることなかったのよ。腋臭だって平気だったのよ。その方が男らしいわ。(略)」礼子はしゃがみこんで、亨介の靴下を脱がしはじめた。
「まあ、可哀相に、こんなに汚れた靴下をおはきになって。わたしが洗濯してあげるわ。(略)ああ、わたし嬉しいの。(略)こうして課長のお世話をしたかったの。(略)感激だわ。これがわたしの夢だったんですもの」
しばし憮然としていた亨介の胸に、年甲斐もなく熱いものがこみあげてきた。
「ありがとう」そう言ったとたん、涙があふれ出た。(略)彼はわあわあ泣きはじめた。泣きながら礼子の乳房の間に顔を埋めた。「ぼくは二十年間、やさしさに飢えていたんだ。あーんあん。君のような女性にめぐりあえて、ぼくはしあわせだ。あーんあんあん」

「…これ、ホントに、マジメに読んでいっていいの?あーんあんなんて、普通使わないでしょ?」
「もうここらへんから大爆笑ものだよね。普通の小説を書こうなんて意識は、作者がわにはそもそもないんだってことが、よくわかるシーンだよね」
「なんか、最近のラノベものよりふざけてるみたい」
「まさに、それよ。スカしたポーズのラノベ読むより、百倍面白いのよ。それで、話の続きとしては、亨介は、家庭内でも孤立しており、ある時、大学生の息子・豪介に、家をたたきだされるのね。そして折も折、彼のまわりに現れてきたのは、みなそれぞれに奇癖を持ち、それについては自分一人で高度な専門知識を持つ妙ちきりんな人々だった。」
「へえ」


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「まず、部下の小口昭之介。彼は人の口臭から、その人の病気、性格、文明論まで語りつくせる『口臭批評家』といえる知識を持っていた。そして、バーで出会った編集者、片桐。人が吐いた吐瀉物から、その人の年齢、年恰好、性格、職業まで言い当てる逸材。接待で知り合った、関西の中小企業のサラリーマン・本橋は、横領の手口を微細に語れる、横領の常習犯、『横領評論家』だった」
「な?なに?その話。書いた人はどうかしてるんじゃないの?」
「どうかしてようとしてまいと、読者は彼らの語るそれぞれの専門知識、ひいては文明論にまで発展する蘊蓄の多様さにまず圧倒されるわけよ。そして、亨介の勤める会社の社長でもあった風巻扇太郎も、盗聴がばれて、会社を追われ、行き場を失ったこれらの人々と、アパート『梁山泊』で暮らし始める。彼らは、みな、それまでの勤めを辞めて、というか、辞めざるをえなくなって、それぞれの分野の『評論家』として、本や講演で売り出していくことになるのね」
「評論家って…あのねえ」
「亨介は『接待評論家』礼子は『贈答品評論家』小口は『口臭評論家』片桐は『吐瀉物評論家』本橋は『横領評論家』風巻は『盗聴評論家』というぐあいにね」
「そんな職業って、なりたつの?」
「それが、なりたつのよ。マスコミは、これらの、異形の集団を、テレビで面白おかしく紹介し、視聴率を稼ぐ」
「ふうん?」
「しかし、内心ではバカにしきっているから、彼らを笑いものにしようと、いわゆる良識派と呼ばれる文化人と、番組上で対決させていったりして、もりあげるのね」
「うん」
「しかし彼らは、その圧倒的な知識でもって敢然と反論する。すると、良識派は、『こいつらの存在じたいが反社会的だ!けしからん!』と、感情的になってわめきちらすしかなくなるわけね。司会者は、自分では良識派をきどって、そのくせ、胸のうちでは、もっとやれ、視聴率がとれる、と、内心ニヤニヤしながら、たきつけるわけ」

「さあ、信じられるか信じられないか。片桐氏の鑑定眼が本ものかどうか。それではさっそくこのスタジオで、実際にその反吐の鑑定というのをやっていただきましょう」(略)「この反吐を吐いた人物を、この二十人の皆さんの中からえらび出していただくわけであります」
(略)片桐は(略)フラスコを持ちあげ、内容物をガラス越しにしげしげと監察した。
「大分古い反吐だな。吐いたのは誤差一時間で昨夜の二時と鑑定します。ははあ、ずいぶん酒を飲んだものですね。(略)あっ、この玉ねぎのきざみかたは一流のコックだ。この人、お金持ちです。(略)子の人、年齢は五十二、三歳、むろん男性です」
片桐はフラスコの口に鼻孔を近づけ、くんくんと臭いを嗅いだ。
「おええ」
「わおう」
「ははあ、ウイスキーはスコッチ、(略)この人、胃潰瘍になりかかっています。タンパク質が消化されていません。(略)」彼はフラスコを傾け、人さし指で反吐をつつき、その指をぺろりと舐めた。
また、どよめきが起った。「おええ」
(略)「塩酸の量がたいへん多い。(略)職業はええと、喋る機会が非常に多い知識人ですが、冷静さを保ちながら論争するためのストレスがあるようです。ピーナッツの噛み砕きかたが独特だ。この人は検事や判事ではない。あきらかに弁護士です」(略)
「あなただ」(略)
「すごい。あたりました。」

「うん…そうとう狂った世界だね」
「彼らは『梁山泊プロ』という会社を作り、大きな自社ビルを建て、そこを拠点に活躍し、いまだ発見されてない、世の中の、みょうちきりんな奇癖を持った…そして、その一点においては余人を寄せ付けぬ知識量と文明観を併せ持つ人材をスカウトしはじめる…」
「うん」
「そこから小説は、日本中に散らばっていた他の奇癖の持ち主たちがいかにして梁山泊プロにスカウトされるかまでを人物伝ふうに列記していくことになるのね。これがもう、この500ページになんなんとする長編小説のぶっとい幹になっていて、読んでて、あまりの奇天烈さとエネルギーに、読者はもう、笑いと冒険の渦にまきこまれ、苦しいくらいおなか一杯にされてしまうわけよ」
「ううううむ。なんといっていいのやら…」
「それがまた微に入り細に入りで面白いんだよ。体中に疥癬とシラミと田虫をまとわりつかせた、『皮膚病評論家』の老爺、もと孤児で、幼いころ駅のタン壺のなかの人痰をすすって生きてきて、功なり名とげた今もその味が忘れられず、痰壺評論家として人の痰をすすって生きている老人…それらが、テレビに出て、正義派ぶった良識派の主婦たちや文化人に阿鼻叫喚の地獄を見せつけるのね。」

テレビ・カメラの前で老人が衣服を脱ぎ捨て、全身満艦飾の皮膚病、それはすなわち猫疥癬、シラクモ、アトピー性痒疹、嚢尾虫症、フィラリヤ、陰金田虫、ネプト、膺、水虫などでできたカサブタや水泡を開陳するや否やスタジオはたちまち阿鼻叫喚の巷と化し、司会者は毛穴を広げてとんで逃げ、ホステスはひきつけを起すという騒ぎになった。
ずらりと並んでいた視聴者代表の主婦たちが、ここぞとばかりに非難をはじめた。
「こういう伝染性の病気を持った人を出演させるとは何ごとですか」
「帰らせてください。気持ちの悪い」
「何が評論家です」(略)
「テレビ局の良識を疑います」自分たちを出演させることは良識だと思っている。
(略)虫右衛門老は(略)怒り狂ってあばれはじめた。
「(略)全員、皮膚病を公平に感染してやるから消えうせろ」
悲鳴をあげて逃げまどう彼女たちを片っぱしから抱きすくめ、追いまわした。もちろん、とめようとする勇気のある人間などひとりもいないから、あばれ放題である。スタジオは失神する者続出で、ついには収拾のつかぬ大混乱に陥った。

「もう、無茶苦茶ね」
「そう、こんな話が世の中にあっていいのか、と、思うような、大暴走小説だよね。ついには、梁山泊プロは、日本の良識派、警察、政府全体を敵にまわし、マスコミも総がかりで盛り上げ、一大決戦をくりひろげることになるんだよ」
「えっ。そんなスケールのでかい話になるの?」
「そう、もとはと言えば、もと放火魔の女を『火事評論家』、自殺志願者で爆弾製造のプロ『爆弾評論家』なんかを迎え入れたことに端を発しているんだけど、要は、マスコミというか、一般大衆にとっては、梁山泊の騒ぎを、悪いやつらがいるから、死ぬまでぶったたけ、という、快楽…それを渇望している、その対象として必要としていた、という構図になるわけ」
「ひええ」
「そこらへんのことは、梁山泊側にもわかってるから、人質をとったり、たてこもったりして、マスコミの飢えた欲望につきあってやるのね。マスコミは、表向きは梁山泊を批難しながら、裏では支援したりして、ずるがしこいの」
「ふうん?」
「でもマスコミの本音は、容赦なく梁山泊側を追い詰めてくるのね」

「さあ、いよいよ警察対梁山泊の決戦が近づいてまいりました。面白くなって、いや、もとえ、大変なことになってまいりました。」

「と、表ではがなりたてるも、梁山泊プロに極秘裡に接触してきた記者の代表は」

「(略)今まで以上に刺激的で、煽情的で、そして奇想天外な事件を起こしていただきたいのです。(略)刺激に飢えた大衆の潜在的サディズムをさえふるえあがらせるような残虐性と、本ものの気ちがいさえ思いつかぬような狂気を兼ねそなえた大事件を起していただきたい。これが、マスコミからの、(略)全マスコミからの要望です。(略)」

「梁山泊プロ側は、その期待どおりのことをやってやろうじゃないか、と、政府、警察、軍隊との一大決戦に臨むわけね。自分たちがマスコミ大衆の、いいおもちゃに利用されてると知りながら、それならそれでいいじゃないか、面白ければ、という、ぎりぎりの反骨?精神でのぞむわけ。アウトラインはこんな感じだけど、どう?こういう話は」
「うーん…風刺なんだか何なんだか…」
「これを単なる風刺と言っちゃうと、言ったその口の先から、もう、作者のいう、俗物と同じになっちゃうのよね。登場人物たちも、自分たちも俗物にすぎないと承知しながら、そんなら俗物の期待に応えてやろうじゃないか、命を賭してやろうじゃないかと戦いの中に身を投じていくわけだからね。この作品は、批判や批評をよせつけない力を持った、うっかり常識とやらで批評しようものなら、作中で批判されたマスコミと同じになってしまうような、複雑な構成を持った作品なんだよ」
「ううううん」
「作者は、そういう世間の俗物性も、自分の俗物性も、きっちり観察していて、そんならそれで面白がってやろうじゃないの、という姿勢なんだとおもうな。でも、こういう得体の知れないテーマを、みごとに娯楽に書ききった筒井康隆は、偉いと思うね。明らかに『水滸伝』が元ネタになっているんだけど、そこに、筒井流スラップスティックの狂躁感と高揚感をミックスして、一大スペクタクルにしあげた大傑作だと、思うね。」
「うう」
「最後あたりのシーンなんて、もう、それまで積み上げてきたものの最後のきらめきが、抒情的に繰り広げられてきて、感動して、涙がでるくらいの圧倒的な迫力で迫って来るよ。本当は、いままで話したような、そんな予備知識なしで、この、豊かな物語世界に、どっぷりと身をゆだねて、この大傑作の真髄を味わってほしいんだけどね、もちろん知ったうえでも、十分楽しめると思うよ。筒井康隆については、また別の作品でもトピックを立てる予定だから、その時また語るね。じゃあ、またね!」

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